あたし達は、夕日の丘まで来た。
人もいないし、ここであたしは電話をかけた。
藤咲さんはそれを静かに見守ってくれている。
ドキドキと脈打つなか、ケータイの呼び出し音が途切れた。
「もしもし?」
あたしは呼びかけた。
相手はすぐに答えない。
しかも、しばらくして答えた声は、フランス語で女の人のものだった。
あおいは唯一覚えたフランス語のすいませんであやまり、電話を切った。
「掛け間違いかな?」
あおいはかけ直した。
しかし、聞こえてくるのはまた女の人だった。
「…おかしい」
ケータイを睨むあたしに藤咲さんは歩み寄り、目を細めた。
「… 貸して頂けますか」
あおいはケータイを藤咲さんに渡した。

