「それで、呼び出してどうするつもりです?」
藤咲さんの冷静な声がした。
あおいはこぶしを握った。
「もう、あたし達に接触してこないよう説得するの。今まであたしは怯えて何も出来ないでいたから駄目だった」
「何故そんなに怒っているのです?」
「知らない!」
あおいはずっと前を見据えながら言った。
藤咲さんはそんなあおいを覗き込んだ。
「少し落ち着いて下さい。感情に任せて行動するのは良くないと思いますよ」
それは、そうかも知れない。
「でも、藤咲さんはムカつかないんですか?」
藤咲さんの顔を見ると、また困ったように笑っていた。怒りなんて表情は見えなかった。
あたしが藤咲さんの怒りを見たのは、そう、松永さんからあたしを助けた、その時だけだ。
「大丈夫です。松永などで私の感情は動きませんから。ただ彼はあわれな人です」
藤咲さんは遠くを見て言った。

