「でもなぁ~ ああいうのって憧れるよなぁ~」

ほんと、正に、

「「あんな恋がしてみたい!」」

月人君とあたしが思わずハモッたのは、

今あたしが連載している携帯小説の主人公、

沙耶ちゃんの口癖。

「やだぁ~ 月人君たら、もう……」

顔を見合わせた気まずさに、

耐え切れなくなったのはあたしの方だった。

「順が考えてることなんて、この俺にはお見通しよっ。

なんせ、俺は熱烈なるファンだかんなぁ。

やぁ、やっぱ楽しいな、順といると」

屈託なく笑う、野獣月人。

嗚呼、いったい何処まで本気で受け止めていいんだろう?