振り返ると、遠くから真っ赤が走って来るのが見えた。

周りより、頭一つ分大きい月人君は兎に角目立つ。

それに真っ赤だし。

手には不似合いな可愛いバスケットを持って、眉間に皺寄せ走ってくる真っ赤。

月人君は、何故か、あたし達のいる場所目指して、一直線に走って来た。

もしかして……

星野さんを振り返ると、立ち上がって大きく手を振っていた。


「おい、順、何でお前が星野と一緒にいるんだ!」


あたし達の横にピタリと停まった真っ赤は、

開口一番そう叫んだ。

「偶然的、運命の遭遇よね!」

星野さんが嬉しそうに答えた。

「月人君、駄目じゃない、デートなのに彼女を放って何処かへ行ったりしちゃ。

あ、それとも、月人君、迷子になってたの?」