携帯小説的恋

なんだか一気に、星野さんとの距離が縮まった。

「あたし、野いちごで『星野真輝』で書いてます。

あ、本名なんですけど、まさか本名って思わないでしょ。

逆狙いなの」

そういうとこ、桃花ちゃんとそっくりだ。

「あたしも、野いちごで『J』で書いてます」

「え、もしかして、あの『大嫌いヤンキー』の?」

「え、あ、うん」

「きゃぁ~ あたし読んでます。

感想ノートは読むだけで、書き込みとかしたことないんですけど。

毎回更新楽しみに読んでますよ~」

あたしは、星野さんにしっかり両手を握られて、もうどうにも逃げられない雰囲気を感じた。

「じゃ、星野さんは、勿論知らない訳だよね?」

「え、何ですか?」

「『つきひと』くんが、本山月人だってこと」

一瞬、星野さんの動きが止まった。