無我夢中で走って、ドン、と何かにぶつかった。

「いってぇぞぉ~」

涙を拭って、声の方を見ると、そこにはあのワイルドキッズの片割れが転がっていた。

「ご、ごめん、大丈夫?

タクマ君かな、

ソウマ君かな?」

「ソウマ」

怒った声が返ってきた。

「ご、御免なさい。本当に御免なさい。お怪我、ありませんか?」

その声に振り返ると、息せき切って、走ってきたらしい星野さんが、深々と頭を下げて立っていた。

「姉ちゃん、

ぶつかってきたのは、この姉ちゃんの方だよ」

「えっ……」

頭を上げた星野さんと目が合った。

「あ、月人君の……」