―――私が伝えたかったこと。


「あ、あのね……」


会いたくてたまらなかった透真の顔を見つめた。


「私、桜井さんに言いたかったことがあるの」


せっかくそこまで言葉をつないだのに、肝心の言葉の前に涙があふれ出した。


「あのね……」


透真はただ黙って私の言葉を待ってくれている。


「私ね……」


―――あなたが好きです。


そう告げる前にギュッと抱きしめられた。


「続きは由衣の卒業式の日にここで聞くよ」


透真の腕の温かさと、優しい声が胸にしみる。


私は心の中で打ち明けた。



―――私はあなたが好きです。


―――大好きです……。


エレファントロマンス/了