次の日も学校へ行くことが出来ず、私は動物園にいた。


―――いつまでこんなこと続けてるつもり?


自分自身に聞いてみても、答えは見つからない。


私はため息をつきながら、手すりに寄りかかった。


『北極熊』

『分類:ネコ目 イヌ亜目 クマ科 クマ亜科 クマ属』


手すりのある場所から、見下ろすようにできている広い檻。


白い塗装が施された床や壁。


深そうなブルーのプール。


氷に見立てたステージの上を、白い熊が右往左往している。


地上最大の肉食獣が、のそのそとプールの端まで歩いて行っては、気が変わったように引き返す。


水中に飛び込みそうで飛び込まない。


その行動をさっきから、何度も繰り返している。


―――見ているこっちがストレスたまりそう。


シロクマは楽しくてやっているのだろうか。


メガネがないせいで、遠くにいる熊の顔は、はっきりと見えない。


いつまでたっても水に入ろうとしないシロクマを見ているのは退屈だった。


―――象でも見に行こうかな。


透真の顔が頭に浮かんだ途端、わけもなく暗い気持ちになる。


ケータイに届いた自分のしどけない姿が彷彿とする。


―――私、先生に何もされてないよね?


そればかり考えている。


鳴沢先生の手で短くされた髪を透真に見られるのが嫌で、何となく象舎の方へ足が向かない。