それって、園長命令ってこと?


もし、園長さんが透真に無理やり象の世話をさせているのだとしたら、許せない。


ピューマの檻の前にひとり取り残された私は、園長さんを糾弾する決心をした。


「園長さんって、どこにいるんですか?」


売店のおばさんに聞いてみた。


「あの建物の奥に園長室があるよ」


おばさんが小高い丘の上にあるコンクリート造りの建物を指差す。


「でも、たいていは、このあたりをウロウロしてることが多いかねぇ。あ、ほら、ウワサをすれば」


園長さんがアフリカゾーンに姿を見せた。


いきなり過ぎて心の準備が出来てない。


―――なんて、切り出せばいいんだろう。


でも、わざわざ園長室へ行くよりは、ここでさりげなく話しかける方がいいような気もする。


私は緊張しながら、象色のスーツへ近寄った。