迷いながら鳴沢先生の前に立った。


先生の手がゆっくりと伸びてきて、私の眼鏡をとる。


談話室の時と同じように、私を見つめながら。


「あ……」


いきなり抱きすくめられ、そのまま斜めに倒された。


机の上に押し倒された上半身に、先生の体が重なってくる。


つま先が床から浮き上がった。


「や……っ」


どうやっても起き上がれない。


「やめ……」


声を上げようとした唇を、上から降りてきた唇でふさがれた。


自分の左胸を、大きな手のひらがすっぽりと覆っているのがわかった。


鳴沢先生の体を押し退けようともがいているうちに、唇の上を生暖かいものが這い始める。


「ん……う……」


必死で唇を結び、担任の舌を拒んだ。


「うっ……」


両方の頬に先生の指が食い込んでくるのを感じた。


口の中が切れて血の味がしている。


それでも、痛みをこらえ、口をつぐんでいた。


鳴沢先生の唇が離れた。


「口をあけて」


真上から命じられる。


本気の目。


怖い……。


全身が震え、涙があふれた。


その私を見て、先生は興ざめしたように冷ややかな顔になった。


「時間のかかりそうな子だ。続きは進路指導室でしようか。もっとゆっくり時間をかけて」


そう言って、先生が私から離れた。