泣きそうになりながら、二階への階段を上がった。


いっそ全部、お父さんに打ち明けてしまおうか。


でも、理事長の息子である鳴沢先生を敵に回したら、お父さんが無理して入学させてくれた学校に居られなくなるかも知れない。


十段ほどの階段を上がる間に色々なことが、頭の中を駆け巡った。


「この部屋?」


立ち止まった私に、先生が聞いた。


「は、はい……」


自分の部屋に先生を入れるのが怖かった。


膝が震えそうになる。


―――大丈夫。下にはお父さんがいるから。


自分に言い聞かせながら、ドアを引いた。