『2人で写メ取ろうぜ』憧は携帯を空に向けながら言った。



『まぁ、こんな綺麗な虹久しぶりだもんね』優菜も空に携帯を向けた。











『それに…最後かもしれないし、優菜と一緒に虹なんて見るの』

憧は何故か遠くを見ていた。
憧の顔は真剣だった。










『なーに言ってんの。試験までは1週間しかないけど、卒業までは半年以上あるんだよ。





また、卒業まで一緒に帰ろうよ』

カシャ


と、優菜は虹を写メりながら言った。









『そーだよな』
憧はいつもの笑顔に戻った。















憧はこの時、私には分からなかった何かに気づいていたのかも…







美紗と星良が手を繋いで歩く帰り道



礼奈と幸二がテキストを持ちながら一緒に教えあっている帰り道



私と憧がたわいもない話で盛り上がっている帰り道









こんな時期(とき)がもう二度と来ないということを



雨はやみただ青い空に
綺麗な大きい虹がかかっていた。