「ブツブツ言ってねぇで早くこっち出てこいよ。お客だぞ、お前の」
「………?」
なんて?
声が小さすぎて聞こえない。
「ちっ…バカ」
窓にあった手があたしに近付いて……
「早く来ねぇとヤっちまうぞ」
薄笑いを浮かべて、耳を塞いでたあたしの手を掴んだ。
「ちょっ、何言って…「ぎゃははははっ!」
笑い声でかき消された。
っていうか、今誰が笑ったの!?
暗い寝室。
ドアが半開きになっていて、そこから廊下の明かりが入り込んでいて。
「えぇっ!?なんでぇっ?」
隙間からひょこっと顔を出して爆笑する人が!
その人をよ~く知ってるあたしは、金魚みたいに口をパクパクさせてしまう。
「ぎゃははははっ!ヒィ…まさっ…まさかっ…そこに隠れてたつもり?」
お腹を押さえて笑うその人は―――
海外に居るはずのお母さんだった。
いくら耳を塞いでたっていっても蓮の声が凄く小さかった訳がわかったよ……。

