こんな顔させたくて言ったんじゃないよ?
あたし……
「蓮に触れたい」
声に出した。
「無理すんなって」
「違う。そうじゃなくて…」
さっき言った事を後悔した。
『あたしも』なんて言い方――…
「あのね、あたし、蓮が知りたいの。もっと……」
「ん」
静かに耳を傾けてくれる。
「この顔、この手、この腕…」
ゆっくりと蓮のその部分に触れていく。
「この身体……全部で蓮の気持ちが知りたい」
言いきらないうちに、キスを落とされた。
あたしの顔を大きな手で包み込んで。
何度も何度も、触れては離れる優しいキス。
「俺を綺麗にしてくれるか?」
鼻と鼻をくっつけて、蓮が呟いた。

