「噂通りの、おもしろいお嬢さん、ですね、レンくんが気に、かける訳だ」
笑いを堪えてる所為で、途切れ途切れに言葉を絞り出す。
天宮社長を見上げると、苦笑いをしているし。
何処に視点を置いても気まずいから、握られていた手を離して下を向いた。
………;
何故か手のひらがベタベタするのは気の所為だろうか。
両手を開いて見たら、やや茶色い?
うわっ!
まさか……さっきのっ!?
ばっと顔を上げて、成瀬部長を見たら、
「ヒメさん、貴女は本当におもしろい。将来大物ですよ!」
なんて、手をにぎにぎしながら、ウェイターさんにおしぼりを二つもらってきてくれた。
「ごごごごごっ、ごめんなさいッ」
カフェには大音量の謝罪が響き渡った。

