「ラッキー…、ですか。ヒメは離しませんよ」
なんか空気が変わった気がする。
二人ともにこにこしてるのに、さっきから紡ぎ出す言葉が自棄に喧嘩越しな様な……。
「今は、とでも申しましょうか?彼女もじきに気付きますよ」
う、わぁ…。嫌な笑い方する人。
背筋がゾクッとした。
「どういう意味ですかね」
「深い意味はありませんよ」
ニヤリと口端を持ち上げて、
「ただ、あなたの所で伸びる女優なんかいやしません。なんせ……あの我が儘で傲慢な王子様がいらっしゃいますから」
笑いだした。
我が儘で傲慢な王子様なんて、うちの事務所にいたかな。
少し考えてみたけど、思い当たる人が居ない。

