やめてよ、蓮っ!


彼の胸をドンドンと叩いて、意思表示を試みた。








ぐぅ~







…………。



蓮の手が止まり、空気がピキンと固まった。

その隙に上げられた手を離す。

それと共に唇も解放されたお陰で、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む事が出来た。

ほんっと、やってらんない。



てか、ぐぅ~?

何の音………?




もしかしてもしかするとこれは、蓮のお腹の音なんかじゃないんだろうか。

さっき食べようって言いだしたの、蓮だもんね?
お腹空いてるんでしょう?

そらぁ、そんな大きな体なんだからあたしの何倍もお腹空くだろうし、沢山いるでしょう?


なのに。
そう思ってたのに。



触れていた所の暖かい感触が無くなったと同時に、体が軽くなる。

相変わらず馬乗り状態なんだけど、ソファーに手をついて体重を移動してくれたんだ。


「あ、りがと……」


蓮は首をだらんとさせ、眉根に皺を寄せて、ちょっと下げた目で見てくる。


「はぁ……萎えた」


な、萎えたっ…て?


額にかかってる髪を上げて、輪郭をなぞってくる。

その仕草にドキドキしてしまう。

今の今まで腹を立ててたって言うのに。もう。