「そこ、言いたいんじゃないんだってば!」
また話が脇道にそれそうなので、何とかして阻止する。
「じゃあ何が言いてぇんだ…」
拗ねたご様子の俺様王子様。
あたしにはこっちの王子様のがいいや。
キラキラ星の王子様も捨てがたいけど、この俺様が時たま見せるちょっと膨れっ面が。
堪んないッッ!
端正な顔立ちに、少し尖らせてる唇がミスマッチなんだけど、凄く愛嬌があるし。
そもそも何をしたって美しい蓮が、子供っぽい行動をとるだけでキュンキュンしちゃうんだってば。
「おい」
やんっ、かっわいい!
「チッ…聞いてんのか、バカ」
だから何したってカワイイんだって…
はっ!またワールドに入り込んでしまった。
恐るべし、蓮マジック!
うん、オネイサン完敗だよ。
そして今頃気付いた。
何度も蓮の声がこだまして、”聞いてんのか”の次の言葉が脳で理解し始めた。
……っていうか、
「バカっていうなぁ~っ!」

