ぐずぐずと、また鼻をすすっていたら、

『そんなことより今どこ?』

なんて急に聞いてきたもんだから、

「えっと…日本…」


当たり前の事を言ってしまった。


わかりきっているその答えに、蓮は当然怒る。

『んなこと知ってるっつうの、日本の何処だって聞いてんだ、バカ』


「ばっ…バカって………えっと、駅前の喫茶店…」


『何て店だ』


「…わかんないよ」


『は?バカかお前は。その店に居んならどっかに書いてんだろ』


「バカバカ言わないでよ、バカ蓮!」


ほんっと失礼なんだから。
彩名に連れてこられたし店の名前なんていちいち確認しないし。


『俺バカじゃねえから。んなこといいから、早く探せ』


蓮がうるさいので、店内を見回してみる。

何気に今、バカって言ったの言い返してるし。

なによ!

なんて悪態ついてるのは飲み込んで、と。
お店の名前名前……。

ぐるりと一周見渡してみる。




あっ。

入り口のガラスにお店の名前らしきものが書いてあるのを見つけた。