だからあたしは素直に「ごめんね」って言ったのに。


『いい』


そんないつもの素っ気ない言葉で返されてしまう。


「良くないよ。あたし酷いこと言ったもん」


『だからいいって』


「なんで?よくないもん!せっかく蓮が電話してきてくれたのに『馬鹿か、お前は』


最後まで話す前に、蓮に遮られた。


『してきてくれたとか言うなよ。俺がしたいからした、それだけだ。お前にそんな風に言わせるつもりなんてねぇよ』


あぁ、蓮はそうだ。

いつもそう。
口が悪い癖に、そこから先は凄く深い。

凄く優しいんだ。



「…だっ…て…」


蓮の優しさが苦しい。
申し訳ない思いと、情けないのと、いろんな感情が入り交じって、それは涙になった。


その所為で話せなくなってしまったあたしに、また耳元にある小さな機械からする、愛しい声。


『お前の考えてることくらい、わかんだよ。どうせまた自分を責めまくってんだろ?
んなことされても嬉しくねぇし』