俺様☆姫様★王子様 2 【完】


そもそもあたしが有名になるなんて…無いと思うんだけど。



………って、あたしの存在忘れてなかったんだね。

自分が空気と同化してるのかと思ったよ。



「……確かにこのコならうけると思うわ。あなたが居なくてもね?」


うひゃあ!ダメだって!
柴崎さん!火に油を注ぐ真似しちゃってるよ。


「そうかもね」


………あれ?

すんなり認めちゃった;

って!認めちゃダメだってば!
あたしは芸能界に居て良い程の人材じゃないから!


「ま、時期に凄いことになるわよ、このコ」


また、にいっと弧を描く唇。


書類の束を机の上にトンッと置くと、音もたてずに立ち上がる柴崎さん。


コツコツとヒールを鳴らしてドアを引くと、振り返って


「その書類、きちんと目を通しておいてくださいね?ではまた来週お会いしましょう」


そう言って、パタンと閉まった。

大量の企画書とシャネルの香りと…………顔面深海魚と化した柚亜さんを残して。