「まだこんなとこでマネージャーなんかして、いい加減こっちの業界に来なさいよ」
「五月蝿いわね、あんたに関係無いでしょうが。私はこの仕事が気に入ってるの。放っておいて頂戴」
ヒートアップしていくのがわかる。
柚亜さんがいつもの柚亜さんじゃない。
深海魚みたいに顔が崩れちゃってるよ；
天宮社長を言い負かした時よりも、対等に話す感じだし。
「あなたがマネージャーだなんておかしいわ。才能は誰にでもあるわけじゃないのよ？」
「五月蝿いって言ってるじゃない。ほら、仕事が済んだら早く帰りなさいよ。直ぐに報告も出来ない部下なんて使えないんだから首切られるわよ？」
ちょっと言い過ぎじゃ……。
柴崎さん怒っちゃわないかな。
そんなあたしの心配も虚しく、言い合いはまだ続く。
「馬鹿言わないで。うちの社長はそんな短気じゃないわ。これでもあたし一任されてるのよ？」
「あらあら、アムールともあろう大企業がそんなアバウトじゃこの先心配だわね」
「何ですって？」
ほらほら；
とうとう眉を吊り上げた柴崎さん。
怒っちゃったじゃん。柚亜さんの馬鹿。
「柚亜だって取り引きする相手に随分な言い様じゃない」
「私はこの仕事じゃなくたっていいと思ってるし。うちのヒメはアムール無しでも絶対有名になるわ」
いや……それは違うと思う。
