「んぎゃあっ」


「毎日紅い顔して、毎日こうされたい?」


左の首筋にチクリ。

小さな痛みを感じた。


「やっ!なにっ?」


鏡でそこを確認しようとしたら、

「こんな風に?」


鏡越しに目を合わせながら、紅くなったそこにペロリと舌を這わせて笑う、大魔王。


それが本当にカッコ良すぎて、舌の感触の所為なのか、恥ずかしさの所為なのかわからないくらい、頭がポワンとして。


「…んっ…」


変な声しか出なかった。


この人はどんなときでも”レン”を持ってる。

ずるいよ。


あたしばっかりこんな気持ちで。


蓮は何でも余裕で、どんなことでも卒なくこなしちゃう。


じっと鏡の中の蓮を見詰める。

蓮も同じ。
肩に手を置いて、首元に顔を乗せたまま、ずっとあたしを見てる。


「なに。もっと?」


「ちっ、違うっ」


「じゃあなに?」


ペロッともうひと舐めされる。

「…ひゃんっ」


「誘ってんの?」


………;