窓の外を覗いてみたけど、雲しか見えないし。
「暇……」
昨夜ぐっすり寝たらしいあたしは、蓮みたいに眠る事が出来なくて、ひとりの時間と空間を持て余した。
二度目のプライベート機は昨日よりかちょっと慣れてきて、散歩紛いの事をしたりして時間を過ごした。
さすが中谷財閥、なんでも揃ってる機内は退屈なんてしなかった。
こんなに積んだら飛べないんじゃないのってくらい、電化製品も揃ってて。
バカみたいにデカイぺらぺらのテレビを見つけたあたしは、前に置かれたソファーに身を沈めた。
食い入るようにお笑い番組を見て楽しんだ。
『姫華様』
ビクゥッ!!!!
突然天井辺りから声がした。
ほんと驚くから!!
『そろそろ着陸致しますので、席に着いてシートベルトの着用を願います』
文句のひとつでも言ってやりたかったけど、黙って業務的な宇都宮さんの声に従った。

