ピッ
柱に取り付けられた何かに手を伸ばし、それに触れた。
ピッピッピッ…
蓮の綺麗な指がそれに何度か触れて、何の為にあるスイッチなのかやっと理解するあたし。
段階を踏んで、真っ白だった壁が、薄れていく。
乳白色から、徐々に半透明になって。
「……っ!!」
息を飲んだ。
口元に手を当てて、蓮と透明になったそれを交互に見る。
彼はまたしても美しい笑顔をしていて。
「どう?姫は、気に入って頂けたかな?」
こんな景色を見せられて喜ばない女のコが存在するんだろうか。
あたしは、ふるふると首を振ることしか出来ず、ゆっくりと近づいた。
さっき壁だと思っていたものは、ガラス。
それは白さの名残もなく、真透明で、遠く眼下に見えるのはキラキラと眩い赤や黄色、青といった色とりどりの光の洪水。
今まで見てきた夜景なんて、足下にも及ばない程に、贅沢な光達。
一面に貼り付けられたみたいに、そこからだけキラキラが見える。
それはまるで絵画。
「蓮……。ヤバい」
感動なんてもんじゃないよ。
目頭が熱くなるし、胸も苦しくなる、そんな感じ。

