ピチャン……
指先を少しお湯に浸して、ひと掬いしてみる。
「素敵」
薔薇の花びらと共に、思わずそんな言葉と笑みが零れ落ちた。
「ひゃっ……びっくりし…」
後ろから抱きすくめられて、顔だけ振り向くと。
うっ……この色気はなんだ。
やや潤んだ瞳、リップもつけてないのに艶々した唇、そしてほんのりピンクがかった頬。
これは立ち込める湯気の所為?それともこの照明?
それとも……
「ふ、どっちも不正解」
「えっ?」
そのウルウルな瞳をそばめて笑う、王子様。
あたしの肩にそっと頭を乗せると、ふわっと香るいつもの香り。
毛先が頬っぺたにあたって、ちょっとくすぐったいよ。
「姫華の所為……」
低くて心地の良い声が聞こえて、
「……ぁ……ん……」
首筋に柔らかい感触。
リップ音がいつもよりも響くから、余計にいやらしさを増す。

