ふたりの痴話喧嘩を聞いていて、絡まった糸がほどけていく気がした。
雅先輩が蓮のお父さんを、叔父さんっていう。
蓮が雅先輩のお母さんを、叔母さんっていう。
その関係って……もしかして
「いっ、従兄弟!?」
あたしがあんまり大きな声を出したもんだから、吃驚した行き交う人達がチラッと見ていく。
「お前うるせぇ」
隣から不機嫌な蓮の低い声が聞こえて、少し肩を小さくした。
「でっ、でもっ」
従兄弟だなんてあたし聞いてない。
そんなあたしの心の声が聞こえたのか、雅先輩が自分の唇に人差し指をあてながら、あたしに向けて優しく微笑んでる。
その仕草があまりにも綺麗で、あたしはつい見とれてしまった。

