そうだよ!
あたし、拉致されたんだ。


夏のバカンスを楽しめなかったからって、無理して外出なんかしなきゃ良かった。

大人しく部屋でゴロゴロ寝ていれば良かった。


後悔先にたたず……。



もう遅いのか。


だって、ここからどうやったら帰れるのかなんて知らない。


段々今の状況が、とてつもなく恐ろしいことのような気がしてきて、目の前でニコニコしてるこの男を更にきつく睨む。



「なによ、どうしたいのよ」


「え?」


ヘラっと笑って、男はまた口を開く。


「そ~だなぁ、どうしよっかなぁ~♪」


「あ、あんたねぇ…」


「……でしょ~?」


へ?
なに?今、なんて…


「ヒメっち、知らないんでしょ~?蓮がどうなってもしんないよぉ?」