徐々に覚醒していくあたし。
目の前には、凄く遠く感じた蓮が立っていた。
「なに?」
俯いたまま返事をするあたしを不審に思った蓮は、視線を合わすようにしゃがみこんだ。
「こんなとこで1人で座って危ないだろ…。見えるとこに居たつもりなのに来ねぇから。どこ行ったのか心配すんだろ?」
名前を呼んだときとは違う、今度は優しい声。
心配してくれてたの?
あんなに楽しそうにしてたのに?
「別に。疲れたから座ってる」
勝手に妄想スネスネモードの素直じゃないあたしは、素っ気ない態度を取る。
「あ、そ」
ほら、やらかしちゃった。
蓮怒ったよね?
折角気を使って声かけてくれたのに。

