思えばあの猩々緋の鎧を纏った武者共はいつ頃から我らが天台城を陥落せんと襲撃に来ていたのだろう。そしてなぜ日出の頃には必ず撤退するのだろう。自問してみるも合点がいくような答はでなかった。

 不意に呼ばれた気がして、城門と一体の櫓から城外を観望した。特に異常はない。気のせいかと思うと、びゅうと突風に煽られた。揺らめく前髪を鬱陶しく思いながらふと遠眼鏡を覗く。するとすぐさま平原の方から祖国の軍団らしき軍勢が隊を為して此方へと馬を進ませているのを発見した。国旗を掲げている事からも恐らく違いはないだろう。