誘惑プリンセス【BL】

「コンソメねぇの?」

「食べてから言うなよ」


 何枚か口へと運んでから、ヒメは言う。

 俺の独断で「のり塩味」を出したわけだが、棚にはコンソメもあった。

 どうせみんな食べるんだから、と、俺はまた台所へ戻る。

 棚からもう一袋取り出して、それも皿に空けた。 


「恭介さんって、お母さんみたいっすね」


 未だ赤い顔をしている律くんが、ぽつりと呟いた。


「律、良いこと言うな! 恭介が女だったら絶対良い嫁だよな」


 ケラケラと声高らかに笑うヒメは、俺が皿を置くなり、また直ぐに手を伸ばして来た。


 つーか、お母さんてのは無いだろう。

 確かに、ヒメの面倒見てやってるっていう自覚はある。

 ちゃんと飯作って食わせないと、ヒメは一食や二食、平気で抜きかねない。

 口を開けばアレが食べたい、コレが食べたい、とは言うものの、俺より食べる量は少ない。

 ヒメは基本的に、食べることに対する執着が、余り無いんだと思う。

 冷蔵庫にある残り物にだって、放っておけば一切手を付けない。

 食べるのが面倒、とか言うタイプなんだろうか。

 そう言うタイプのヤツは、太らないって聞いたな。

 だからあんなに細いんだ。


 ヒメにとって俺が必要だって思われるなら、それはそれで嬉しいと思う。

 でも。

 ヒメとは、対等でいたいと思うんだ。