誘惑プリンセス【BL】

「──わかった。ヒメノさんて、恭介さんと付き合ってるんでしょ」


 不意打ち過ぎる律くんの言葉に、ヒメも陣くんも、立ち上がろうとした俺も固まる。


「俺と恭介、そういう風に見える?」


 ヒメの笑顔が、怖い。

 鮮やかすぎる作り笑いに、さすがの律くんも言い過ぎたと思ったみたいだ。

 背を丸めて頭を下げた。


「すいません。見えません」


 その言葉に満足したのか、ヒメは小気味良い音を立ててビールのプルトップを開けた。


 ──ヒメは、俺と付き合っていると思われるの、嫌なんだろうか。


 ふと、そんな事が頭を過ぎる。

 いや、俺だって、ヒメと付き合ってるのか、って言われれば全力で否定するが。

 でも、自分でそう言うのと、相手にそう言われるのって、何か違う。

 そこは嘘でも「付き合っている」と言われてみたいとか思ってしまう俺は、何なんだ?


 自分の気持ちに戸惑いながら、俺はシンク下の棚からポテトチップを取りし出した。

 中身を皿に空けてテーブルに置けば、直ぐさまヒメの手が伸びてくる。


 ……餌付けしてる気分だ。