誘惑プリンセス【BL】

 不機嫌に缶ビールを煽る陣くん。

 ヒメの膝枕で陽気に笑う律くん。

 缶チューハイ片手につまみに手を出すヒメ。

 そして、その3人を無言のまま交互に見詰める俺。


 はっきり言って、気まずい。


「でもこれ、女モノの香水じゃないですかー? すっげー甘い……」


 ヒメの手を引いてクンクンと手首の匂いを嗅ぐ律くんは、酔った所為もあるのかヤケに甘ったるい顔でヒメを見上げている。

 2人とも酔いが回っているとは言え……そんなやりとりを目の前でされれば嫌でも気になる訳で。

 缶ビールをちびちびと飲みながら、つい、目が2人を追ってしまう。


「エスカーダの……何だっけ」

「うん……良い匂い。ヒメノさんホントに女の子みたい。もしかして彼氏とか居るんじゃないですかー?」


 瞬間、ペキッ、と陣くんが缶を鳴らした。

 思い当たる節が有りすぎて、俺と陣くんは思わず視線を合わせた。


「ばーか。そんなん居ねぇよ」

「えー。じゃあ、立候補していいですか」

「律!! お前ふざけるのもいい加減に……っ」


 噛み付くように声を荒げる陣くんを、ヒメが片手で制する。

 俺はと言えば、その様子をただ見てるだけで……。


「……俺と、付き合ってみる?」


 律くんの横顔に手を当てて、ヒメがニヤと笑う。