「……好き過ぎて辛い、とか、幸せ過ぎて怖い、とか……ホントにあるんだな」
「えっ?」
「くっそ……っ、全部恭介のせいだからな!」
「なんでだよ」
「聞くなよ、ばかっ!」
とん、と拳で胸を叩いてきたかと思うと、ヒメはそのまま何も言わなくなってしまった。
時折、鼻をすする音が聞こえてくるだけ。
以前ヒメは、遊び半分で付き合うのがラクだって言ってた。
俺とは全く違う恋愛観を持っていた。
そんなヒメが、本気で俺を選んでくれたんだよな。
そんな風に考えてしまうと、今のヒメの言動全てが愛しく思えて来た。
「ヒメ、俺だって同じこと思うよ。ヒメのことが本当に好きだから、今のこの時間が夢か何かなんかじゃないかって思う。けど、こうやって抱きしめてると、現実感が湧いて来るっていうかさ」
「……恭介のくせに、なにクサいこと言ってんだよ。歌詞じゃあるまいし」
「俺だって恥ずかしいよ! でも、ちゃんと言わないと伝わらないだろ」
ヒメの背中を撫でると、擽ったいのかびくりと身体が揺れた。


