あの笛が無いと、小鳥は
寄って来てくれない?



違ったんだ。



小鳥は、僕を覚えていてくれたんだ。



あの笛が無くても、
僕自身に
寄って来てくれる。

指に止まってくれる。

さえずってくれる。





また、涙が出た。



けれど、それは決して、
"悲しかったから"
じゃなかった。



胸が、あったかかった。





名前を付けても
いいかな?

笛が無くても、
君を呼べるように。

嫌ならば、
どこか遠くへ
飛んでいっても
構わないから。





「君の名前は━━━━」








    +fin+