ある日、笛を無くした。

あんなに大切に
持っていた筈なのに。

なくさないように、
なくさないようにと。



探した。

たくさん、たくさん
探した。



それでも、
見付からなかった。



どうしよう。

あの笛が無いと、
小鳥は来ない。



あの笛が無いと

あの美しいさえずりが
もう二度と聞けない。

あのつぶらな瞳を
見られない。

あの小さな温もりが、
この指に止まらない。



何度も、何度も
探した。





それでも、
見付からなかった。