「指輪をつけている時、こうしてほしいって考えたんじゃないのかい?」

「…………」

ラインハルトさんの腕の温もり。

囁くような声。

そのどれもが、私の思考を蕩かしていく。

過去にどう考えたかなんて、どうでもよくなってくる。

だけどその頭の中で。

『こんな非常時でなければ、もっと長い時間抱きしめていて欲しかったような気もするが』

あぁ…そんな事も考えたかなぁ、なんて。

ぼんやりと思い出す。

…月明かりに伸びる、重なり合った私とラインハルトさんの影。

彼のこの行為は、指輪の魔力のせいなのか、それとも心からの行為なのか。




まぁいいですわ…とても幸せですもの…。