突進してくる大柄な生徒に臆する事なく、ラインハルトさんは強く踏み込んだ。

そして生徒の両腕の間にねじ込むように身を滑り込ませて懐を取り、更にもう一歩、廊下に足がめり込むような踏み込み!

同時にその踏み込みの力を利した、強烈な下突きを生徒の胸板に叩き込む!

絶招通天炮。

接近戦を得意とする八極拳ならではの技。

相手の突進力をも利用したこの短打により、生徒は呻き声すら上げずに廊下に突っ伏すようにして倒れた。

「やれやれ…」

制服の襟を正しながら、ラインハルトさんは少し申し訳なさそうな顔をする。

「生徒への指導とはいえ、少しやり過ぎてしまった…この大柄じゃ保健室に運ぶのも一苦労だな…」