風紀委員長ミーシャの事件簿

「何だてめぇ!警備騎士団が何こんなとこうろついてやがる!」

怒号にも似た声が廊下に響いた。

エルフは耳がいい。

そもそも森の中で微かな動物の足音や鳴き声を聞き分け、狩猟をしているような種族なのだ。

こんな騒がしい校舎の中でも、声のした方向と大体の距離くらいは素早く判別できる。

私は怒号のした方へと走った。

校則を遵守する風紀委員が廊下を走るなどあってはならない事だけど、緊急事態なので大目に見てもらいたい。

そして、私が駆けつけた先では。

「どっから入ってきたんだ、警備騎士団がよぉ!」

大柄の生徒と、群青色の制服の青年が睨み合っていた。