風紀委員長ミーシャの事件簿

ややあって。

「入りなさい」

極々静かな声で入室を許可される。

「失礼します」

私は扉を開け、一礼した。

「風紀委員長ミーシャ・ファレル、出頭しました。御呼びでしょうか、学園長先生」

「ははは…そんな緊張しなくてもいいんだよ、ミーシャ」

学園長室の大きな窓の前。

そこに手を組んで外の景色を眺めていた三十代くらいの男性が、肩越しに私を見て笑った。

灰色の短髪、柔和な表情がサングラス越しにもわかる。

顎には無精髭。

グレーのスーツに黒のネクタイという服装。

その若さといい、出で立ちといい、意外に思えるかもしれない。

しかし彼こそが紛れもなく、この学園の長。

天空宮学園学園長、下平アルベルトその人である。