恋にキスを

彼には、今のあたしの状態がわかってしまうらしい。




「泣いてないよ?」




震える声。


本当は、「なんで付き合うの!?側にいてよ!!」って。



叫びたいのに。





『ごめんな。』





彼の寂しそうな声を聞いて、喉が詰まる。



彼の顔とか、彼の背とか。



ぬくもりとか。





遠距離恋愛は、それを一つも感じる事ができない。




声だけ。



それ以外、彼を知ることはできない。





「…泣いてないって、言ってる…じゃん。」




彼を知らないのに。



彼とすれ違っても、わからないかもしれないのに。




いつの間にか、大貴が大好きになってる自分がいた。






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