『もしもし？』




何度も聞いたことのある声。



毎日毎日聞いてきた声。




これからも、彼と電話くらいならするだろう。





でも、この電話は恋人同士としては最後の電話だということを、あたしはわかっていた。





「どうしたの？」




これから言われることがなんなのかなんて、わかっているのに。


わざと知らないフリをしてしまう。




『えっと…さ、』




言いにくいのか、戸惑う大貴。




今更、戸惑わないで欲しい。


別れなら、キッパリ言って欲しい。




「…なに。」



どんどん冷たくなっていく言葉。


どんどん溜まっていく涙。




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