「……私が1人じゃない?」
自分に問い掛けるように小さく、小さく呟いた。
「そう、歩美はね。昔も今も1人じゃないんだよ。うちらがいるじゃん!」
更にギュッと壊れ物を包むように抱き締めた。
琴の言葉で涙腺が緩み、とうとう泣き出してしまった。
「…っうん。ありっ、がと……」
そんな歩美を慰めるように背中を優しく擦る。
数分間その様子を見守っていた、クラスの皆。
歩美が泣き終わるのがわかった途端…「「「今までごめん!!」」」咲月、翔、友美、優馬、琴以外が一斉に謝り出した。
その光景を見た咲月は、少し驚いていた。
び、びっくりしたー。
歩美はというと「……え?」こちらも咲月同様、驚いているようだ。
すると1人の男子が「俺…前まで小野さんのこと、あんま好きじゃなかったんだ。何かというと、すぐ話しかけてきて…。だけど……」顔を曇らせて言った。
「私も、小野さんって男子のとこばっかりで、女子なんか眼中にないんじゃないかって思ってた。だからそんなに好きじゃなかった…んだ。でも、琴ちゃんが…」
今度は1人の女子が気まずそうに顔を俯かせながら呟いた。
「俺も…」「私も」など1人1人が思っていたことを口にした。
その中に必ずと言っていい程、琴の名前が出てくる。
どうして琴の名前が出てくるのか、わからない歩美。
そんな歩美を見かねてか、咲月が近付きしゃがみ込む。
すると、歩美の疑問を解決してくれた。
「歩美ちゃん。どうして琴ちゃんの名前が出てきたかわかる?」
「……ううん」
首を横に振り、わからないと言った。
「…琴ちゃんはね、昨日皆の前で、こう言ったんだよ。『皆は歩美のこと、好きじゃないの?クラスのために学級委員として頑張ってくれてるんだよ?なのになんでその努力を認めてあげないの?女子とあまり話さないからってそれだけで嫌いになるの?男子は話しかけられてるのに?なにか訳があるんだよ、女子と話さないのは。それよりも歩美はクラスの一員なんだよ?』って」
咲月の言葉に、すごく驚いていた。

