その人物は、こっちを見ながら固まっていた。
「小野…さん?」
誰かが呟いた。
その瞬間、クラスがざわついた。
傍のコとコソコソ話したり、仲の良いコの所まで行き、話し出すコまでいた。
そんな中…歩美ちゃんの目の前までいき、睨み付けたコがいた。
そのコは上原 琴(ウエハラ コト)ちゃんだった。
Aクラス唯一のギャル。
外見だけでは頭が良いと納得出来る人はいない。
けど、実際頭が良い。
Aクラスにいるのがその証拠。
…なんて失礼極まりないことを思っていると。
「…っ!」
歩美ちゃんが尻餅をついていた。
どうやら琴ちゃんが歩美ちゃんの肩を押したらしい。
歩美ちゃんは訳がわからないというように瞳を見開いていた。
歩美ちゃん!
私は心配になり駆け寄ろうとする。
しかし、その足は琴ちゃんの一言によって止められる。
「あんたさぁ~。咲月のこと嫌いなの?てか昨日、何処にいたわけ?」
え!?
私…?
私の名前が出てきて少し戸惑う。
歩美ちゃんは俯き何も言おうとしない。
ズキッ
否定も肯定もしない…。
歩美ちゃん……。
やっぱり私のことが嫌い、なの?
昨日、追って来た私をウザいと…思った?
迷惑だったのかな?
やっぱり、ちょっと傷付くな…。
泣きそうになり俯く。
俯いた私の心情を読み取ったのか竹井くんが横から、
「っんなわけねーだろ!?なんで歩美が南美のこと嫌いにならないといけねぇわけ?……あっ」
竹井くんは素が出てしまったようだ。
「…あんた、竹井?」
琴ちゃんが瞳を点にさせている。
「ま、まぁな…」
瞳を泳がす。
やっちまった、と呟いた。
琴ちゃん同様、クラスの皆も驚いていた。
口をポカーンと開けているコ、瞳をパチクリしているコ。
すごく驚いているようだった。

