ガラッ
教室の後ろの扉を開けた。

女子は何グループかに分かれて話しているし。
昨日は遅刻だった竹井(最低ヤロー)もいるし。
優馬は相変わらずいないけど…。
何らかわりない朝の風景。

…だったんだけど。
普段、咲月に話しかけないコが話しかけてきた。

あたし達の前にくると、「おはよ、友美。…おはよ、南美さん」挨拶を交わしてきた。

…きのせい?
あたしの時は笑顔だったのに、咲月の時は…少し睨んでいたような。

「おはよ」
「…おはよう、歩美ちゃん」
あたし達は歩美の横を通り過ぎようとした。

「ちょっと待って」
歩美の言葉にあたし達はピタッと止まる。
ゆっくりと振り返る。

ビクッ
あたしの体は硬直した。
咲月は、肩が小刻みに揺れていた。

歩美は凄い剣幕で、咲月を見ていた。
睨み付けているような。

「…南美さん、ちょっといい?」
咲月の返事も聞かずに、手首を掴んで…教室から出ていってしまった。

あたしはそれを呆然としながら見ていた。

「咲月ちゃん、大丈夫かな?」
「小野さん、すごく怖かったよね」
「咲月ちゃん達が来る前もね」

あたしのすぐ近くにいたグループがひそひそ話していた。

あたし達が来る前も…?

あたしはバッと振り返り、そのグループの女のコ達に訳を聞く。

訳を聞き終わったあたしは。
「ありがと!」
教室から出ようとした。
「あっ!それと、あたし達が授業までに戻らなかったら先生に言っといて!」
「わかった!」
その言葉を最後まで聞かずにあたしは教室を出ていた。

まさか、咲月が悲しい顔になってた原因って…歩美なんじゃ?
そんな事を考えながら、廊下を歩いている人達を避けて走った。