今は夕方。
皆、部活をしてる。
外からはいろんな奴らの声が聞こえてくる。

俺がいるのは1-Aの教室。

俺の腕の中、ひたすら泣き続ける南美。
事の発端は数十分前…


南美に教室に残ってろと手紙で伝えた俺は、クラスの奴らが部活行ったり、帰ったりするのを待っていた。

歩美が近付いてきてなんか言っていたが、無理矢理帰した。

南美は部活があったらしい。
そのため及川に部活は行かないと言ったらしいのだ。

そして及川もいなくなり教室には俺達2人になった。

ガタ
俺が席を立つと南美はビクッと肩をびくつかせた。
何かに怯えてるみたいだった。

俺はあまり気に止めず南美の方に歩いていった。

ガタッ
南美は勢いよく立ち上がり後退りしていく。

…?
なんで逃げてくんだ?
俺の中にそんな疑問が浮かんだ。

俯きながら何かを言っているようだった。
近付いても聞こえないほど小さい声で。

南美は壁に背中がついてしまったようだ。

俺は南美に追いついた。

すると、南美が何を言っていたのかがわかった。

「来ないで」
「いや」
「もう私に近付かないで」

途切れ途切れに言葉を繋いでいく南美。

顔を上げ潤ませた瞳で俺を見る南美は小動物みたいだった。

呑気に可愛いとか思ってる俺はバカ?
…いや、俺はバカじゃない。

好きな奴が瞳を潤ませて小動物みたいな顔をして俺をじっと見てるんだぞ?
可愛いと思わない奴がおかしい。