紫御殿†Purple heart

そんな、こんなで30分ぐらい
歩いた頃

やっと、ひとつ前の駅が
見えて来た。
 
線路に沿って歩けば
15分もあれば着く距離を

知らない道をあっちでもない
こっちでもないと

さ迷い、遠回りした私は、倍も
時間がかかってしまった。

ここからでも、後5分ぐらいは
距離がありそうだ。
 
『もう少し、あれ?』

ポタポタポタ・・・・・・

傘に打ち付ける

雨の音が聞こえる。 

見上げた私の頭上には
黒い空が広がっていた。

そう、真っ黒の傘。

白いワイシャツの袖を捲くった
手で傘の取っ手を掴む

男性の腕のライン

きれいな手に、私は見惚れた。