そう、この場所で貴方は
雨に濡れる私に
黒い傘を差してくれた。

私は、勝手に庭へ入り
プランターに咲く
紫御殿の花を見つめる。

凛とした姿、綺麗な紫色・・・

あなたは今も、私を魅了する。

可憐な藤色の花びらは
咲く季節を過ぎ、今は葉だけ

それでも、あなたは素敵。

とっても素敵。

玄関のドアが開き
如雨露を手に持ち
貴方が現われた。

「いずる?」

「レイ
 どうしてここに?」

「どうしてここにいるの?」

重なる、二人の声。