「ナミ、あの人だよ
 私に傘を貸してくれた人」

「何、何の話・・・
 あの先生
 レイの知り合いなの?」

「うそ、誰の知り合い?」
 
ざわめき出す生徒達を見兼ねた 
体育教師が、声を荒げる。

「ほらっ
 そこの三年、黙りなさい」
 
貴方が、こちらを見た時
一瞬だけ目が合ったような
気がした。
 
赴任して来た先生方の名前が
順番に紹介され

名前を呼ばれた先生は
一歩前へ出て会釈をする。

もうすぐ、貴方の番が来る。

緊張した面持ちの貴方を
見つめていると、こっちまで
緊張でガチガチになるよ。

私と彼は、同時に深呼吸をした

私は、耳を澄ます。

貴方の名前を

聞き逃さないように集中する。