「父はその下で働いていて
 伯父さんには頭が
 上がらなくて・・・
 ある時、父が私に言った
 絵だけでいいから
 やめてくれないかって」

『嫌だよ
 絵だけは、絶対に
 止めたくない』

『ごめん、ミオ
 お父さんが悪かった』

「それから、私は絵以外は
 適当にするようになった
 
 チエよりも勝っては
 いけない・・・

 そして、体の弱いチエの
 言う事を聞いてあげなきゃ
 いけない

 父が職を失わない為・・」

「だから、虐めも
 逆らっちゃいけないの

 そんなの、おかしいよ」

血相を変えて、自分の事
のように怒る私を見て
鴨下さんは笑う。

「関係ない、あなたが
 そんなに怒ること
 無いのに、馬鹿ね」